富士山の植物学 - 富士山の花図鑑 | 富士山エリアの総合ガイド - フジヤマNAVI
五合目から森林限界を超えると、岩混じりの荒原、砂利や小石の砂礫地が広がり、富士山特有の景観が現れます。荒原や砂礫地は養分となる土や水分に乏しく、砂利の斜面は崩れやすいうえ、強風にさらされるなど植物が育つには厳しい環境です。しかし、斜面にはオンタデやイタドリがパッチ状に生え、比較的安定した斜面や岩陰などにはフジハタザオ、イワツメクサのような小さな花も咲いています。
五合目付近から下は各登山口ともに亜高山性の針葉樹林で覆われ、森林限界付近ではミヤマハンノキやダケカンバなどの落葉樹も混じって、草地も点在しています。このあたりは花の種類も豊富で、薄暗い環境を好む植物は林の中に、明るい環境を好む植物は草地や林の縁に育っています。六~七合目付近でも小規模ながら、低木が茂り、草地が形成されているところも見られます。
日本のアザミの中で最も大きく、高さ20cm~1m、花の直径5~10cmほどにもなります。大柄で目立つうえ、ほかに似た花がなく、フジアザミだけで生えることも多いので、簡単に見分けられます。
花期:8~9月
富士山の固有種で、ぜひ見つけたい花のひとつ。花の色は白いですが、形は菜の花にそっくり。細長い実を旗竿に見立てたのが名前の由来ですが、シーズン初めはまだ実っていないことが多いです。
花期:7~8月
本州中部から北海道南西部まで広く分布します。そのわりに自生する山が少ないのですが、富士山ではたくさん見られます。名前は花の色と、根が木綿のようで、つる性であることからつけられました。
花期:7~8月
平地から高所まで生え、平地では高さ1mほどにもなりますが、五合目付近から上では丈が低い高山型が見られます。オノエイタドリ、メイゲツソウもイタドリの高山型とされます。別名スカンポ。
花期:7~8月
長いものでは3mに達する太い根を持ち、水分に乏しい荒原に適応しています。荒原で最も多く見られる植物で、パッチ状に群生することも多いです。イタドリと近縁でよく似ています。
花期:7~8月
岩や砂利の中に生え、葉が細く、曲がって、先がとがる形を鳥の爪に見立てて名づけられました。花びらは10枚に見えますが、実は5枚で、深く2つに切れこんでいます。本州中部の高山に分布しています。
花期:7~8月
注:花期はおおよその目安でその年の気候、成育地などによって変動することがあります。
高さ10~20cmほどで草のように見えますが、実は常緑低木で、林の中や縁に生えます。花は直径6mmほど。実は赤く熟して食用になりますが採取禁止。ジュースやジャムの原料には輸入品が使われています。
花期:6~7月 実:8~10月
花の直径2.5~3cm。草地や林の縁に生えます。ピンクの花を咲かせる高山植物のハクサンフウロと似ていますが、こちらは薄紫色で茎などに粗い毛が生えています。郡内は山梨県東部の古称です。
花期:7~8月
シオガマギクの高山型で、上から見ると花がスクリュー状にねじれて付き、巴の紋様に似ることが名前の由来です。高さ20~50cmほどになり、林縁や草地の明るいところに見られます。
花期:8月
日本固有種で山地の土手などで多くみられ、円筒形の薄紅色の花が垂れ下がるようにつく。花の長さは4~5センチで先が浅く5つに切れ込む。ホタルブクロとの違いは萼の形で、つけ根が丸く膨らんでいるのがヤマホタルブクロと見分ける。
花期:8~9月
草地に多く、直径1.2~1.5cmほどの花が穂になって咲きます。アキノキリンソウの高山型で、花が密に付くことが特徴。アキノキリンソウ、両者の中間型も見られます。別名コガネギク(黄金菊)。
花期:8~9月
アザミに似て直径1cmほどの小ぶりな花を咲かせます。高さ30~60cm前後。明るい草地、オンタデの株の際などによく見られます。葉の付け根の形が矢をつがえる矢筈に似ることが名前の由来です。
花期:6~7月 実:8~9月
花や葉は小さいですが、食用のイチゴ(オランダイチゴ)とそっくり。花の直径は1.5~2cm。実は1cm前後で熟すと赤くなります。林の縁、車道沿いなどの明るいところに多く見られます。
花期:6~7月 実:8~9月
草地、ダケカンバなどの低木の林下など、明るいところに生えます。花の直径5~6cm、高さ30~80cm。茎の中ほどの葉が輪生して車の輻(や。スポークのこと)を思わせるので名前が付けられました。
花期:7~8月
高さ0.5~1.5mほどになり、直径2.5~3cmのピンクの花が穂になって咲き、目立ちます。ランの仲間ではありませんが、花があでやかで、葉が柳に似ていることから名づけられました。草地に多く見られます。
花期:7~8月
注:花期はおおよその目安でその年の気候、成育地などによって変動することがあります。