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【特集】渡辺玉枝さんが語る「登山の魅力」とはいったい何なのか

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2015年5月、73歳と180日で世界最高峰エベレスト(8848m)の登頂に成功し、女性最高年齢の登頂記録を更新した渡辺玉枝さん。そんな渡辺さんは山梨県の富士山河口湖町で生まれました。今回は生まれ育った富士山麓の山の魅力や世界の山々の魅力をインタビューしました。登山に挑戦してみたい、登山が好きだという方は是非読んでみてはいかがでしょうか。

初めて山を登ったのは28歳の時

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「山登りを始めたのは遅いんです。
普通の人は高校の山岳部に入ったりして始めるんですけどね。
私は山岳部ではなく、自宅の薪ひろいや草刈りなんかで山に入っていたので、レジャーっていうよりライフワークだったんです。お手伝いというか。」


そう言って朗らかな笑顔で話してくれた渡辺さんが登山を始めたのは 28歳過ぎてからだそうです―

「川崎図書館に勤める友人の話を聞いていたら、なかなか山登りが面白そうで『私出来るかしら』なんて相談したら神奈川県庁山岳会の入会申込書を取り寄せてくれて、1月に入会したんです。
入会後2月に谷川岳に行くからと言われて。
革靴だけオーダーしてあとは借り物ばかりで行ったんです。
そうしたら新人だなんて関係なし。脇の高さまである雪の中を輪かんを履いてラッセルしながら進むと10分でへとへとでした。」


谷川岳って初級者向けの山といった印象ではないんですが―

「谷川岳の2月はドカ雪の山として有名でした。
樹林帯を抜けたら、次はアイゼンの世界が広がっていたんです。
ここでアイゼンの歩き方を習い、進んでいくうちに次第に雪がやんで、山頂まで登れたんです。そしたらすごくきれいな景色が見られちゃったの。それで山登りするなら冬山に限る!なんて感じて。かなり面白い初体験だったんです。」


28歳に戻ったような笑顔を浮かべ初登山のことをそう振返り、山頂からみた景色を心に思い描いているようでした。

38歳で北米最高峰マッキンリーへの挑戦

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「谷川岳の後はしばらく冬山にいけなかったんです。
山岳会の山行に申し込んでも『経験者でないと・・・』と言われてしまって。
それならば、と一人で地図と山雑誌を照らし合わせながら夏山からぼちぼち歩き始めました。
77年にマッキンリー南壁の登山に1人足りないからと声をかけられたんです。
年下の男性ばかり4人の隊で、隊長でさえ6つも年下でした。
私じゃなくて男性を誘えばいいのではと考えながら、どうしてもということだったのでテントキーパーとしてならば行こうと決めたんです。」


これが、女性初登頂の記録となった77年の北米最高峰マッキンリー(6194m)への挑戦ですね―

「77年の6月13日に入って7月13日の登頂まで、ちょうど1ヶ月。
その間にいろいろ体験したのが、すべての基礎に。
マッキンリーは夏も全部氷なんですよ。そこで初めて氷の登り方も岩の登り方も教わって。
まあ、体力だけは、お百姓をして育ったこともあって、女性の中ではあった方だと思うんです。
それでも手始めに少しお手伝いでもしながらとついて行ったはずが、結局は登れちゃったんです。幸運なお誘いで恵まれていたんですね。
さらに、アメリカの内務省から女性初登頂というお墨付きまでいただいちゃって。」


「渡辺さん何年生まれ?」と電話で聞かれて

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8000m級の山に初挑戦されたきっかけは何ですか―

「当時の最先端を行く女性登山家さんから『渡辺さん何年生まれ?13年生まれなら資格があるわ』といきなり電話があって。
失礼しちゃうと思いながらも話を聞くと、シルバータートルという50歳以上のメンバーで8000m級の山に挑戦しようという会を組んだってことで誘ってもらったんです。
8000m級の中でも比較的登りやすいチョーオユー(8201m)に挑戦する話でした。
でもやっぱり休暇の関係もあって躊躇していたんですけど、2・3回話を聞いているうちにやっぱり楽しそうで、行ってみたいと。」


8000m級の山に初挑戦された時はどんな様子でしたか―

「7300mまでは酸素を吸わずに登ったんですけど、それは苦しくて。
7300mまでを無酸素で登るより8000mを酸素吸って登るほうがよっぽど体は楽になるんです。
だから、明日から酸素が吸えるって考えると安心できたんです。
酸素があれば安心ですけど、酸素を買うのは高いからぎりぎりまで頑張っちゃうんですよ。
それで、私は一次隊にいたんですけど、チョーオユーの山頂までほかの3人と登れたんです。
チョーオユーは頂上がすごく広いんですけど、エベレストが見える所まで行かないと頂上じゃないよと言われ、まだかまだかとすすんでいたら、やっと見えたんです。
目の前にエベレストを見た時の印象ていうのが、『やっぱり8800mは高い。ちょっと無理だな』って感じがしたんです。
エベレストに行きたいと考えても、桁が違うなと私には思えて、自分から行こうとは思わなかったんです。」


エベレストから見たご来光は地球の丸さを感じた

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エベレストに登ることになったきっかけは―

「『歩き方を見てたら、エベレストに登れると思った。
できればエベレストは若いうちに登ったほうがいい』と以前一緒にガッシャーブルムⅡ峰(8035m)に登った人に誘われたんです。
それが出発まで2か月ない急な話だったので迷ったんですが、3日後には『やっぱり行く!』って答えていたんです。
最初のエベレストは登れる自信がなくて、登頂できなくてもトレッキングだけでも楽しそうだと思って行きました。
でも一緒に行った人が良かったので、登れっちゃったんですよね。
山頂に到達したとき、頂に誰もいなくて、私たちだけで40分近く景色を眺めたり写真を撮ったり山頂を楽しみました。
この時シェルパは『この山は絶対に天候が崩れるんだから早く降りよう!早く降りよう!』と言っていたんです。
普通こういった山では天候も崩れやすいし人も大勢いるので、お弁当を広げてゆっくりなんて悠長なことは言っていられなくて、頂上にタッチしたらそのまま降りてくるのが大体ですね。」


ネパール側から登ったら今度はチベット側が気になって

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2度目を登るきっかけは-

「いつも誘われてばかりだったんですが、2回目のエベレスト挑戦は私から声をかけました。
やはりチベット側にも興味があって。
後半に第1ステップ第2ステップと岩場ギャップを登るんですが、そこだけは不安でした。
チベット側は5200mのベースキャンプまで車で行っちゃうので、その前に体を5000mに慣らしておくんです。
それでも6300mまでは氷の上を歩かないのでトレッキングシューズで上がれるんでいいですよ。」


三ッ峠の山頂から見る富士山がやっぱり一番

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