富士山の植物学 - カラマツにも注目 | 富士山エリアの総合ガイド - フジヤマNAVI
サイトマップ
フジヤマナビ
ツイート
亜高山帯は全体にシラビソやコメツガなどの常緑針葉樹で覆われています。しかし、五合目や森林限界付近ではダケカンバ、ミヤマハンノキ、ナナカマドなどの落葉広葉樹も目立ちます。中でも特徴的なのがカラマツ。五合目のような高所に群生するのは珍しく、富士山独特の植生、景観を形づくっています。
カラマツの木は本来、幹がまっすぐに伸び、全体の形は整った三角錐となります。しかし、森林限界を超えるあたりでは、地面に這い、とてもカラマツとは思えない形を見せるようになります。ほかの高山ではハイマツが生えているところですが、富士山にはハイマツがないためカラマツが育ち、さらに冬の低温や強い季節風を受け、このような形になったと考えられているもので、その形からテーブル形樹形と名づけられています。
森林限界付近では、冬の低温や強い季節風が木の形を変えます。カラマツ本来の直立した樹形の木も、よく見ると枝が片側に偏っているものが見受けられます。これは季節風などのダメージが少ない風下側に枝が伸びるもので、旗形(きけい)樹形と名づけられています。季節風は西から吹くので、枝は東側に多く見られます。テーブル形樹形とともに、強風でできた樹形という意味で風衝樹形と呼ばれます。