静岡県にある「富士山本宮浅間大社」と浅間神社
聖地として伝えられる風穴「人穴富士講遺跡」
「浅間大菩薩(せんげんだいぼさつ)(富士山の神の名称の一つ)の御在所」と伝えられた風穴(溶岩洞穴)の人穴は、富士講の開祖とされる長谷川角行(はせがわかくぎょう)が16から17世紀に修行し、入定したと伝えられる聖地です。
境内には、信者たちが建立した角行や先達等の供養碑や顕彰碑、登拝記念碑が約230基残されています。
巡礼と修行の厳かさを水の音と共に感じる「白糸の滝」
富士山の湧水が約200mにわたって噴出している白糸ノ滝。
16から17世紀、富士講の開祖とされる長谷川角行が修行を行った地とされ、富士講を中心とした人々の巡礼・修行の場となりました。
文化と芸術が景勝地で語られる「三保松原」
三保松原は『万葉集』以降多くの和歌の題材となり、天女と漁師のはかない時間を描いた謡曲『羽衣(はごろも)』の舞台にもなりました。
15から16世紀以降に典型となったのは、三保松原を手前に配した富士山画の構図。
それらの絵画をはじめ多くの芸術作品を通じて三保松原は富士山を望む景勝地として広く知られています。
「富士山域」における静岡県としての構成資産
「構成資産」の中でも標高1.500メートル以上はより重要な地域にあるものとされています。
そのエリアは「富士山域」と呼ばれ、内静岡県が所在地となる「構成資産」は3つの登山道。
富士山本宮浅間大社を起点とし、村山浅間神社を経て山頂南側に至る「大宮・村山口登山道」で、指定範囲は6合目以上です。
須山浅間神社を起点とする山頂南東部に至る登山道「須山口登山道」は、標高1.435メートルからありますが指定範囲は標高2.505メートル以上および御胎内付近。
冨士浅間神社を起点とし、八合目で吉田口登山道と合流し山頂東部に至る「須走口登山道」は、五合目以上という資産範囲指定です。
世界遺産・富士山の「構成資産」を訪ねる旅
世界遺産・富士山の 「構成資産」を訪ねる旅 ~山梨県 編~
山梨県と静岡県をまたがるようにそびえたつ富士山。世界遺産としてふさわしいと認定された背景には、周辺にある神社や登山道、風穴に湖沼などの存在も大きくかかわっています。富士山の価値を成す文化財は「構成資産」として25か所あり、それらすべてが世界遺産。ここでは山梨県エリアに位置している構成資産をご紹介します。
世界遺産・富士山の 「構成資産」を訪ねる旅~富士山域編~
世界遺産に選ばれた「富士山」は、ただ日本一高い山というだけで認定されたわけではありません。美しい山体はもちろんですが、富士山が世界遺産としてふさわしいと評されたのは、雄大な富士周辺の資産を含めてのもの。それらは「構成資産」と呼ばれ、全部で25か所にものぼります。その中でも標高1.500メートル以上にある9件の「構成資産」はより重要な地域にあるものとされ、総称として「富士山域」と呼ばれています。世界遺産としての富士山を感じる旅なら、ぜひとも訪れたい場所ばかりです。
富士宮市には「富士山本宮浅間大社」があります。
浅間神社とは富士山を浅間大神として祀ったことを起源とする神社であり、富士山本宮浅間大社はその総本宮です。
社伝によれば、山宮から現在地に遷座されました。
平安時代から信仰を集め、特に徳川家康の保護を受けて現在の社殿が造営されました。
また、家康の寄進をきっかけに富士山八合目以上を御神体として管理しています。
境内には富士山の湧水である「湧玉池」があり、かつては道者がここで登山前の水垢離(みずごり)を行いました。
静岡県で「構成遺産」として位置している浅間神社は4社。
山中での修行者や富士山における修験道の中心となった神社で(興法寺/こうほうじ)とも呼ばれていた「村山浅間神社」。
富士山本宮浅間大社の前身で、日本武尊(やまとたけるのみこと)が創建したとされている「山宮浅間神社」。
日本武尊が創建したとされ、須山口登山道の起点となった「須山浅間神社」。
同じく須走口登山の起点で富士講信者が多く立ち寄り33回を一つの区切りとする登拝回数等の記念碑が約80基残されている「富士浅間神社」。